TALK SESSION GAME採点の軸の解説

SCORING AXIS 1/5

受容

0〜80点

相手の直前の発言の、具体的な中身を受け止めて返せたかを見る軸です。5つの軸の中でいちばん配点が大きく、ほかの軸の点の出方にも影響します。

この軸が見ていること

「受容」が見ているのは、相手の話をちゃんと聞いていたかどうか、ではありません。聞いていたことが返事の文面に出ているかどうかです。

頭の中でどれだけ相手の話を理解していても、口から出たのが「そうなんだ」「わかる」だけなら、相手からは聞いていたのかどうかが見えません。反対に、相手が使った言葉を一つ返事に入れるだけで、「この人は自分の話を聞いていた」という証拠になります。

見分け方は一つで足ります。その返事は、相手がまったく別の話をしていても使えるか。使えるなら、それは聞いた証拠になっていない返事です。

元になった考え方

会話分析の研究者・平本毅さんは、相手が自分の経験を語ったあと、聞き手が「わかる」と示すやり方を実際の会話から分析しました(2011年)。そこでは、理解を示す発話が二つに分けて扱われています。

実際の会話では「わかる」が単独で出ることは少なく、多くの場合そこに具体的な内容への言及が付け足されていて、主張だけの弱さが補われている、と報告されています。このゲームの受容の採点は、この〈主張〉と〈立証〉の区別を下敷きにしています。

もう一つの背景は、社会心理学の「応答性(perceived partner responsiveness)」という考え方です。Reisさんらは、相手が自分を理解し、大事にし、気にかけて反応していると感じられることを、親密さの中心にある要素として整理しました(2004年)。受容・問いかけ・場づくりの3つの軸は、この応答性を別々の角度から切り出したものにあたります。

会話例:同じ発言への4つの返し

相手が次のように話したとします。返し方によって、受容の点の出方が変わります(数字は目安で、実際の点は会話全体の流れも見て決まります)。

相手引っ越してから、駅前のパン屋さんが朝7時に開いてるのだけが救いで。

いちばん高い帯の返しは、うまいことを言っているわけではありません。相手がさっき使った言葉をそのまま持ち帰って、その言葉が指しているものを確かめているだけです。気の利いた返事を考える必要はなく、拾う場所さえ分かれば、材料はいつも相手の発言の中にあります。

点が伸びにくい返し

ゲームでの扱い

受容は0〜80点で、5軸のうち唯一、はっきりした4つの帯に分けて採点しています。上の会話例の4段階がその並びです。

受容はほかの仕組みの入口にもなっています。受容がある程度以上とれたターンでだけコンボが1つ積み上がります。また、受容が低いターンでは「連結」と「開き」の点が弱く反映されます(受容ゲート)。相手を受け止めないまま自分の話を続けても、その話は相手に届きにくい、という考え方をそのままルールにしたものです。

80点という配点が5軸で最も大きいのは、ゲームとしての数値のバランスを取った結果です。「受容がいちばん大事だ」と示した研究があるわけではありません。

よくある疑問

相づちを打つのはだめなんですか?
だめではありません。相づちだけで終わるターンは受容が伸びない、というだけです。「なるほど」のあとに相手の言葉を一つ足せば、それで上の帯に入ります。
相手の言葉をそのまま繰り返せば高得点になりますか?
拾ってはいるので、いちばん下の帯からは抜けます。ただ、表面の言葉を1つ拾っただけなら下から2番目の帯にとどまります。その言葉が相手にとってどういう意味なのかまで返すと、上の帯に進みます。
長く返したほうが点は高くなりますか?
長さは基準に入っていません。短い一文でも、相手の言葉を根拠に相手の気持ちを読み取っていれば、いちばん上の帯になりえます。
自分の会話を見直すとき

自分の返事の中に、相手が直前に使った言葉が一つでも入っているかを探してください。一つもなければ、その返事は〈主張〉だけで、〈立証〉が抜けています。

この解説の前提

点数は会話能力の測定値ではなく、このゲームの採点基準にどれだけ合っていたかの目安です。採点しているのは会話に参加していないAIで、会話の記録を外から読んで点をつけています。相手が実際にどう感じたかは測っていないので、低く出ても人柄や能力の話ではありません。

参照している研究はどれも人間同士の会話を対象にしたもので、AI相手に同じことが成り立つかは確かめられていません。また、研究が「この返し方が優れている」と述べているわけではなく、それを点数にしたのは開発者の判断です。詳しくは採点の考え方(設計根拠と参照研究)にまとめています。

参照した研究

研究の著者および学会は、このゲームの開発・監修に関わっていません。研究者による推薦や承認を示すものではありません。

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